ヒロリン雑学ブログ

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パンドラの箱

パンドラの箱

よく物語の中で「パンドラの箱は開いた、開けられてしまった」というようなものを見かける。
【映画】や【小説】【アニメ】の中ではしばしば登場する表現だ。
これは【ゼウス】の仕掛けに乗ってしまって、箱の中に詰め込まれていた【様々な災厄】が世界にばら撒かれた事に由来するのだろうけど。
私の中では、この【パンドラの箱】の解釈は少し違う。

最初に【ギリシャ神話】で、この話を読んだとき、今のような【災い】が世の中に出てしまった。という事よりも、その後の続きの方が心に残った。

巨人族ティターン(タイタンともいう)】の生き残りの【プロメテウス】は、心優しい巨人で、人々が【火】の存在を知らず、寒い冬に寒さのあまり死んでいくのが可哀想で見過ごせずに【ゼウス】から「人には教えてはいけない」と言われていたのに、こっそりと【火】の使い方を教えてしまう。
これによって、人は例えば肉を焼いて食べる事を覚え、暗い夜に灯りを灯す事を覚え、そして寒い冬には火を焚いて暖を取る事を覚えた。

しかし、【火】を使えば、それは【煙】を伴うので、すぐに【ゼウス】に知れてしまう。
怒りに震えて【ゼウス】は【プロメテウス】をオリンポスの黒尾根に縛りつけて【生きたまま】の【鳥葬】の刑に処す。
【鳥葬】というのは本来は遺体を鳥(主に猛禽類だと思う)の集まる山の上の方に安置して、鳥に遺体を綺麗にしてもらうという【葬式】のことで、アンデス地方だったかな?場所は忘れたけど、れっきとした雄式のひとつの方法。
遺体の肉や内臓は鳥についばまれて無くなり、いつしか骨だけが残るという…。

これを【生きたまま】の【プロメテウス】にしたのだから、【ゼウス】の怒りがどれほど大きかったかが、窺い知れる。
それはともかく、【教えたくなかった火】が、既に人の知るところとなってしまったので、ゼウスは「人が増長して【神】である自分達に歯向かってくる」ことを恐れて一計を案じる。

プロメテウスには弟が一人いた。
この巨人(名前は忘れた)も人の好い優しい巨人ではあったものの、兄のような【聡明さ】は持ち合わせていなかった。
この弟に、ゼウスは【人間(人間もプロメテウスが作ったというのがギリシャ神話)の女】を嫁として与える。
その、お祝いとして【パンドラの箱】を授ける事になる。

この箱の中には「人が神に反旗を翻さないように、そんな事を考える事ができないように」という事で【猜疑心】や【妬み】【欺瞞】などの悪い感情を生み出すものを、目いっぱいに詰め込んでいて、巨人族の嫁である愚かな人間の嫁は、巨人が留守の時に【好奇心】に負けて箱を開けてしまう。
その瞬間、箱の中の様々な【災厄】というものが世の中に溢れ出てしまった。
というところを抜き出して、昨今のいろいろな物語の中では使っている。

でも、この物語には【続き】がある。
あまりの出来事に恐怖に囚われて部屋の隅で震えていた【プロメテウスの弟の嫁】は、恐怖の中で【声】を聴く。
どうも、箱の中から聞こえてくるようだ。
自分もここから出してくれないか。と言っているようだった。
人の女は、恐る恐る尋ねる。

「貴方は誰?誰なのですか?」
すると【箱の中】に取り残されていたものは「私は【希望】です」と答えたという。
つまり、世の中にどれほどの災厄が満ちていても、【人】であるものの傍に残されたものは【希望】なのだという事が書かれている。
という事なので、私は【ギリシャ神話】を読んでからずっと、【パンドラの箱】というのは、「どれほどの絶望を感じる事があっても、【人】は希望を失う事はない」という事を伝えているのだと思っている。

なので、ここ10年くらいかなのかな?
パンドラの箱のことを、ネガティブに【災厄の象徴】みたいに扱っている【流れ】のようなものが不思議でしょうがない。
これは【希望】の話だよ。と思っている。